Topic89 Ishige.H
「バイトを通じて」

 私は今、主に接客業を中心としたバイトをしています。なんだかんだでもう1年半続けているので、基本業務は何の苦労なしにこなせるようになりました。そうした中で、他店へ応援に行かされることがあります。(応援とは、他店で人手が足りないときなどに代わりに行くことです。)私は今までで4つの店舗に行くことがありました。それぞれ仕事の環境は多少異なりますが、つい最近行った店ではそれが顕著に現れていました。私が普段働いている店では、バイトの人も責任を持って、食材や食品の取り寄せや納品などの仕事もこなします。しかし、応援に行った店ではすべて店長が行っていました。私は最初なんでバイトの人が手伝わないのか不思議に思いました。 そしてしばらく経った時、店長から「今度お弁当の注文が170個入っているから徹夜して1人で作らなければいけない」と言う話を聞きました。私の店ではバイトの人も一緒に朝早く来て作るので店長が徹夜することはないのでびっくりして、「何で1人なんですか?」と聞きました。そしたら、「バイトの人が出てきてくれないから…バイトの人には期待していない…1人でやったほうが早いから…」という答えがかえってきました。私は自分がバイトをしている身なので、何でこの店のバイトの人は同じ職場の人が大変な思いをしているのに手伝わないのだろうかと、不思議に思いました。 そしてそれをバイトの人に聞いてみました。その人は24歳の女の人だったのですが、意外な答えがかえってきました。店長にいつも「手伝う」といっても答えは「ひとりで大丈夫。」と言われるそうです。手伝う意思があるのに断られるというのです。だから、もう手伝うか聞かないというのです。そして、新人が入ってもあまり仕事を任せないために仕事を覚えられず、いつまでたっても1人で任せられないのだと言います。 私は2人の話を聞いて、なぜこんなことになってしまったのだろうと考えました。確かに、バイトをしている人の中には楽をしてバイト代をもらおう、と思っている人がいると思います。そういう人に朝早く出るように頼んでも断られてしまいます。それに、人に教えるより自分ひとりでやったほうが早いし確実に終わるという店長の気持ちもわかります。しかし、このようなことをしていたら自分は楽にならないし、同じ職場の人のやる気をなくしてしまうという逆効果しかうみません。私のところのバイト先が特殊なのかわかりませんが、大変なときはバイト・社員関係なくみんなで協力してやります。自分の働く職場が好きで、ある程度責任のある仕事をこなせるようになるとそうなるのだと思います。 私は今まで、私の店では基本的な仕事のほとんどをどんなときでもバイトの人に任せるので、少し手伝ってくれてもいいのに、と思うときもありました。しかし今回あまりにも仕事がないという状況を味わって、仕事を与えてもらえない、頼ってもらえないということの寂しさを知り、この考え方が間違っているのだと思いました。仕事のない虚無感をあじわうなら、多少忙しくても充実した時間を過ごしたいと思いました。そしてこれから社会に出たときに、頼りにされて仕事のもらえるような人間になりたいと思いました。