武村卒論


マインドフルネスによるスポーツ競技者へのパフォーマンスに及ぼす影響を検討 

武村萌生


 近年、スポーツ競技者に対しての心理的な問題が深刻化されている。その問題の多くが、自己との葛藤、人間関係、怪我、他にも様々な競技不安や心的ストレスなどである。そんな中、スポーツ競技者に対して心理的なサポートの方法として、メンタルトレーニングが挙げられる。 
メンタルトレーニングの中でも近年注目を集めているのがマインドフルネスである。マインドフルネスはスポーツ競技者に対してパフォーマンス向上の目的として、マインドフルネスの理論や技法が主に海外で用いられており、マインドフルネス得点の高さとパフォーマンスの関係性が報告されている。マインドフルネスが高いスポーツ競技者は、今ここの外的な刺激や身体感覚、感情や認知に対して過剰に反応せずに、パフォーマンスに価値のある思考や行動に注意を向けなおすことができることを示唆している。
 マインドフルネスの中でも歩行瞑想は実施する時間も少なく、スポーツ競技者にとって行うことは容易であるため、本研究では歩行瞑想で実施した。マインドフルネスを用いたメンタルトレーニングの介入には、一定の効果があると考えられている。
 しかし、スポーツ競技者を対象としたマインドフルネスの研究で質問紙と競技の実践を合わせた研究は少なく、マインドフルネスを実施することによる、競技能力の変化、マインドフルネスの即効性、心理的競技能力の変化を調べる必要があった。
 そこで、スポーツ競技者がマインドフルネスを使用することによる、パフォーマンス向上の検討およびマインドフルネスの即効性の検討とスポーツ競技者がマインドフルネスを行うことによる、心理的競技能力の変化に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、本研究では、MBSRの具体的技法である歩行瞑想を実施するマインドフルネス実施群と、マインドフルネスを実施しない統制群に対して、パフォーマンスに違いがあるかどうかについて検討した。
 仮説は、マインドフルネス群の実施後のパフォーマンスが一番高くなると予測し、マインドフルネスを行ったことによってマインドフルネス群の実施前と統制群の実施前後より競技能力は向上すると考えた。
 結果、平均AMQのマインドフルネス変化量について片側t検定を行ったところ、統制群に比べてマインドフルネス群のほうが有意に高いことが示された。次に平均ゴール数のパフォーマンス変化量について対応のある片側t検定を行ったところ、統制群に比べてマインドフルネスのほうが有意に高いことが示された。
これらの結果から、スポーツ競技者に対してマインドフルネスが有効であるということが確認された。近年スポーツ競技者に対する心理的な問題が深刻化されているが、マインドフルネスを導入することで、少しでもメンタルサポートをできる可能性が示唆された。今後も、スポーツ競技者へのメンタルトレーニングとしてマインドフルネスの活躍が期待される。