寺西卒論


柔軟剤の香りから想像されるイメージとパーソナリティの関連

寺西杏子

 香りは私たちの生活に身近な存在であり、近年香水や柔軟剤のような香りを楽しむ文化も増えてきた。一方で、「スメルハラスメント」や「香害」といった言葉が生まれ、他者が過剰に使用した香り付き製品による問題点も話題となっている。そこで本研究では、柔軟剤の香りを用いて香りから想像されるイメージを測定し、その傾向にパーソナリティ及び性別との関連が見られるか検討した。また、香りの好みとパーソナリティ及び性別との関連が見られるか、柔軟剤の使用状況とパーソナリティ及び性別との関連が見られるかについても検討した。香り袋を作成し、参加者にはその香りをSD法を用いた香りのイメージ測定質問紙によって評価してもらい、参加者のパーソナリティをNEO-FFI人格検査によって測定した。NEO-FFI人格検査の5つの次元の得点を用いて、参加者を2つのクラスターに分け、パーソナリティの特徴をもとに、「高社交性・自己管理群」と「低社交性・不注意群」と命名した。結果より、香りから想像されるイメージとパーソナリティ及び性別との関連はないことが示され、全体的に同じように香りのイメージを捉える傾向が見られた。また、香りの好みとパーソナリティ及び性別との関連はないことが示された。ロジャ・ダブ (2010 富岡・沢田訳 2010) は、子どものときに香りと接した経験によって、香りの好き嫌いの基本パターンとなる香りのアイデンティティが形成されると示唆している。これらのことから、香りから想像されるイメージの傾向は万人共通であるものの、その好みは個々の経験や思い出によって様々に異なっているのではないかと考えられる。更に、柔軟剤の使用状況とパーソナリティ及び性別には関連がないことが示された。柔軟剤の使用状況についての回答の集計の結果、パーソナリティ、性別に関わらず、香り付きの柔軟剤を使用していると回答した人数が最も多かった。池田 (2013) や小倉 (2013) によって、柔軟剤の使用理由として「香りのよさ」をあげる使用者が増えていることが明らかになっていることから、現代の柔軟剤使用においては、パーソナリティや性別に関わらず、香り付きの製品を使用しその香りを重視する傾向があると考えられる。