Jansari Assessment of Executive Functions の信頼性と妥当性の検討　

二塚弘輝

　本研究では、日本版Jansari assessment of executive functionsの信頼性と妥当性を検討することと日本版Jansari assessment of executive functionsの問題点や改善点を目的とした。健常な成人(平均年齢31.42歳)を対象に日本版Jansari assessment of executive functionsとBRIEF-Aを行い、信頼性は本研究の結果とJansari et al.(2014)の結果と比較することで検討を行った。妥当性は日本版Jansari assessment of executive functionsとBRIEF-Aの結果の相関を見ることで検討を行った。その結果、日本版Jansari assessment of executive functionsの創造的思考課題を除いてJansari et al.(2014)の結果と同様の結果が得られた。また、妥当性の検討では日本版Jansari assessment of executive functionsとBRIEF-Aの間に中程度の相関が認められた(r=.437, p<.05)。このことから、本研究では日本版Jansari assessment of executive functionsの信頼性と妥当性は高い傾向にあると考えられる。しかし、創造的思考課題がJansari et al.(2014)の結果と同様の結果が得られなかったことや日本版Jansari assessment of executive functionsとBRIEF-Aの間に高い相関が認められなかったことを考慮すると、日本版Jansari assessment of executive functionsには問題点や改善点があることが考えられる。日本版Jansari assessment of executive functionsの問題点は創造的思考課題が日本人の気質に適していないことや検査中評価とは関係のない問題が発生してしまうことなどが挙げられる。このような問題を改善していくとともに、日本版Jansari assessment of executive functionsを本来の目的にかなった検査対象者である遂行機能障害者に検査を実施することで、信頼性と妥当性を獲得し、検査の精度を上げていくことが今後の課題に挙げられると考えられる。