奥田卒論


瞳の大きさが顔全体に与える影響について

奥田真弓

 本研究では、瞳の大きさが、顔全体の印象に変化をもたらすのかを検討するために、内面や外見についての評価実験を行った。また、性差についても検討した。これらの項目はすべてカイ二乗検定で分析を行った。その結果、内面的尺度において、カラーコンタクトを装着した写真に有意があった項目は「自信のある・意志が強い」であったのに対し、裸眼の写真に有意があった項目は「心のひろい・親切な・感じのよい・ユーモアのある・明るい・親しみやすい・信頼できる・すなおな・自然な・さっぱりした・がまん強い・まじめな」であった。外見的尺度において、カラーコンタクトを装着した写真に有意があった項目は「色の白い・シミ・ソバカス・シワが目立たない・あごが長い・鼻の高い・目が丸い・目が大きい・まゆが長い・眉が濃い・唇が厚い・顔の小さい」であったのに対し、裸眼の写真に有意があった項目は「ふっくらした・額に丸みがある・あごが丸い・エラがはっている・額が広い・顔の大きい」という結果となった。カラーコンタクトを装着すると、裸眼の場合と比べて外見的に有意な傾向がみられた項目が多くあったが、「魅力的な」項目は有意でなかったことから、外見的な魅力が直接顔全体の魅力に影響しているとは言い難い。また、カラーコンタクトを装着すると、裸眼の場合と比べて社交性などが減少することがわかった。性差に関しては、女性のほうがより有意な傾向にあった項目は、「心のひろい・親しみやすい・感じのよい・すなおな」という印象を裸眼の写真の方に受けやすく、「積極的」と「唇が厚い」という印象をカラーコンタクトを装着した写真の方に受けやすいことがわかった。男性がカラーコンタクトを装着した写真に、女性が裸眼の写真に有意な傾向が
あった項目は、「さっぱりした・意志が強い・きっぱりした・魅力的な」であった。男性は、カラーコンタクトを装着した写真に「魅力的な」印象を有意に受けやすいことから、「さっぱりした・意志が強い・きっぱりした」印象をもった女性を魅力的に感じることが推測される。
今回の実験を通して、カラーコンタクトを装着した写真に違和感を覚える参加者が多くいたことから、カラーコンタクトのサイズに個人差を踏まえ、どのような印象評定が行われるのか検討する余地は十分にあると考えられる。