はじめに

 このたび、専修大学ネットワーク情報学部コンテンツデザイン総合演習「Emotional CALENDAR」の最終成果物を公開致します。この演習課題は本年度の9月から1月にわたって、2年生のコース必修のグループワークとして行われたものです。今年の統一テーマは”カレンダー”。使い手の感情に働きかけるインタラクションを持つカレンダーのデザインに取り組みました。その学びの中で生み出された、全15作品のプロトタイプのデモと対話型プレゼンテーションを行います。

 出展される作品は、製品提案の形式を取っていますが、ビジネス化やシステム実装を主目的としたものではありません。ゼロから考えていくプロセスを重視し、まずは特定のユーザへ向けての具体的な利用シーンを構想することを学びの主眼に置いています。稚拙な点は多々ございますが、学生らが考える未来への提案として、想像力とともにご鑑賞頂ければ幸いです。今年の展示会場は、新設された10号館4Fのホワイエになります。学内外に関わらず自由に見学できますので、短い時間で恐縮ですが、どうぞご来場頂けますようお願い致します。

Emotional CALENDARとは

 行き交う月日を正確に共有するため、人間は古くから「暦」を発達させてきました。現在世界各国で使われている暦法は、太陽暦の一種である"グレゴリオ暦"と呼ばれるものであり、太陽が地球を1周する期間に合わせて、1年は365,2425日で表されています。1582年にヨーロッパで発布されて以来、現在に至るまで、年/月/日の時空間はこのルールによってフォーマットされています。

 カレンダーは、基本的にはこの暦法によって区切られた日々を構造化し、その前後関係を目に見えるようにするというシンプルな機能を持つにすぎません。しかし、それにもかかわらず多様な表現が生み出されていることもまた事実です。それは単にアラビア数字が並ぶだけではなく、繰り返し接する中で日常の移り変わりを楽しみ、眺める人の感情を乗せる経験のメディアともなっていることを示唆しています。

 "Emotional Calendar"は、使い手の感情に働きかけるインタラクションを持つカレンダーをデザインする演習課題です。生活空間における人々とカレンダーの関わり方を観察・分析し、そこから新しいユーザ経験のコンセプトを提案します。これまでのカレンダーは材質の制約から汎用的なものが中心でしたが、デジタルの可変性や情報空間の広がり等を活用することで、それぞれの日々をより豊かにするためのストーリーや、表記の形態、対話機能をもったメディアとして拡張することが考えるでしょう。さらに、"カレンダー"というシンプルな縛りを設けてその中で競作し評価しあうことによって、グループ毎に広げた想像力を検証し、オムニバス的に楽しむという側面も生まれます。

 情報技術が成熟し、透明化していくと予測される今後の生活空間の中では、"使いやすさ"などの利便性に加えて、使う中でのエモーショナルな要素、すなわち「楽しさ」や「心地よさ」といった"情動"がキーワードとして注目されています。そういった点を踏まえ、この演習でも人間が生きていくそれぞれの日々と、そこに生まれる感情に着目し、どのように新しいユーザ経験を描くか、そしてエモーショナルな要素をデザイン言語で記述しうるか、の可能性を掘り下げています。これら一連の考察と制作を通して、学生らが情報デザインの基礎的な考え方を学び、今後の情報環境を展望していくきっかけとなることを狙って課題を設定しています。

課題内容

課題名

Emotional CALENDAR(エモーショナル・カレンダー)

形式

2007年度後期14週間(9月〜1月)月曜4.5限。課題は6人前後のグループワークで行う。計15チーム。履修者計89人。チーム編成は、グループワーク参加に対する個人の優先度を考慮し、自己申請で2群に分ける。

課題の条件

演習のねらい

  1. ユーザ経験を中心にしたデザイン手法の基礎的な理解
  2. 実世界と仮想世界を繋ぐ、インタラクション設計の基礎的な理解
  3. デザイン制作・プロトタイピングのための専門性を持った技術の体得
  4. 長期的な開発プロセスにおける意志決定とマネジメント能力の育成
  5. グループワークを通したコミュニケーション能力の育成

学内発表会

関連演習ウェブサイト

演習スタッフ

担当教員

T.A.

S.A.

演習協力

Special Thanks

お問い合わせ

このウェブサイトの掲載情報、および演習内容に関するお問い合わせは、上平崇仁 kamihira(atmark)isc.senshu-u.ac.jp までお願いします。

演習でプロトタイプ制作に利用した組み込みシステムは演習用のオリジナル発注品です。ICタグリーダは、株式会社ソフエル様にご協力頂きました。製品に関するお問い合わせは営業担当〈坂本〉までお願いします。