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Chapter
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_SLAVE CULTURE:
"honest and fair service to the Lord and all mankind everywhere"



Beverly Jonesの話(pp.191-192) 担当:高橋洋子

 日曜日は教会へ行く日であり、Beverly Jonesたちは白人によってBathol近くのSassafras stageの教会へ行かされた。そこは黒人によって立てられ、黒人の説教師のいる、黒人のための教会だった。白人たちの礼拝に黒人が出席することは許されなかったのである。

 教会での説教はまず白人の説教師がし、次に黒人の説教師が行った。しかし説教のほとんどは白人の説教師によるものであり、黒人の説教師が説教している間は白人の説教師がその様子をじっと見守っているのだった。当時はそれが決まりだったのである。もちろん黒人牧師が白人の出席する礼拝で説教することはなかった。黒人たちは白人の説教師の話を神妙に聞いていなければならなかったが、彼らはうんざりしていた。小言はそらで言えるほど聞かされていたからである。その内容は新約聖書の「エペソ人(びと)への手紙」の中の一節だった。

白人たちはいつもBeverly Jonesたち奴隷に「主人の為に元気に一生懸命働きなさい。そうすれば天国で安楽な生涯を送れるだろう。」と言った。しかし「天国にいける。」とは言っても、「自由になれる。」とは一度も言わなかったのである。Beverly Jonesはキリスト教の説教にひそむ欺瞞を見抜き、「彼らは奴隷たちが自由ということについて考え始めるのを嫌ったんですよ。その自由が天国のものであってもね。」と語っている。


 以上のBeverly Jonesの話からわかるように、当時プランテーションではほとんどの奴隷がキリスト教を信仰していた。それは、主人にキリスト教を教えられた黒人達が成長して、その世代がプランテーションの中心的役割を担うようになったためである。また、それに伴ってキリスト教そのものが奴隷社会の中心となっていった。奴隷達にキリスト教義を受け入れさせた白人達の目的は明白である。奴隷主人は自分達に都合がいいように聖書を解釈し、黒人達に説教することによって、奴隷を所有することが公認されている社会を肯定しようとしたのだ。



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