「ファジィ測度Choquet積分の計算(nデータ、λファジィ測度、感度分析)」
このページは,「ファジィ測度Choquet積分の計算(nデータ、λファジィ測度、感度分析)」の利用法を記したものです.
このソフトウエアは,CGIというシステムを利用して,インターネット上で対話的に計算ができます.
このページは,このソフトウエア(λファジィ測度をショケ積分)を理解するために作成したものです.
したがって,実際に計算を行うときは,このWebで理解した後,「汎用ファジィ測度ファジィ積分の計算」で計算したほうが便利です.
このWebでできること
- 重要度とλ(相互作用の指標)からファジィ測度の同定
- ショケ(Choquet,ショッケ)積分値の計算
- λやξを変化させての感度分析
- ショケ積分値の計算の図解
例題
新車を総合評価するのに,「価格」,「性能」,「デザイン」,「燃費」の4つの評価項目で,総合評価します.評価対象(代替案)は,A車,B車,C車の3つとし,
個々の評価対象の各評価項目の評価値が何らかの方法でわかっているものとします.
このとき,ショケ積分を使い,各車(評価対象)の総合評価値を求めてみます.
評価項目数・データ数の入力
ここで,評価項目数,データ数を入力します.

- 評価項目数(n)(最大10)
- 評価項目数(入力値の数)の数を入力.ただし,全角文字は不可です.1から10までの整数で指定してください.
例題の場合,評価項目は,「価格」,「性能」,「デザイン」,「燃費」の4つなので4と記入します.
- データ数(m)(最大1000)
- データ数(評価対象の数,代替案の数)を入力します.
例題では,A車,B車,C車の3つですので,3と入力します
- 制限
- システムの都合により,評価項目数×データ数は5000以下で指定してください
評価項目名の入力
評価項目名を入力します.省略すると番号が入るます.

例題では,「価格」,「性能」,「デザイン」,「燃費」と入力します.
評価項目の重要度の決定方法(手入力 または 一対比較)
重要度の決定方法を選択します

- 手入力
- あらかじめ各評価項目の重要度がわかっているときに選択します.
- 一対比較
- AHPなどで使われている一対比較法で重要度を同定します.
重要度の入力(手入力)
このページは,評価項目の重要度の決定方法で「手入力」を選んだときのみ表示されます.重要度を入力します

重要度を入力してください.ただし,正の数値で指定してください.
例題で,たとえば,重要度が,「価格」が7,「性能」が5,「デザイン」が3,「燃費」が4とき,図のように指定します.
重要度の入力(一対比較)
このページは,評価項目の重要度の決定方法で「一対比較」を選んだときのみ表示されます.

一対比較では,各評価基準同士を比較して,どちらがどれくらい重要かを入力します.
この作業をすべての評価基準の組で行い,各評価基準の重要度を求めます.
図の例
- 1行目は,「価格」と「性能」の重要度の比較で,「価格」の方が「若干重要」のときの例です.
- 2行目は,「価格」と「デザイン」の重要度の比較で,「価格」の方が「あきらかに重要」のときの例です.
- 最下行は,「デザイン」と「燃費」の重要度の比較で,「燃費」の方が「重要」のときの例です.
[相互作用の度合いの入力]をクリックすると次のような画面が表示されます.

- 一対比較行列
- 重要度を求めるための行列です.詳しくは,AHPの本などを参照してください
- C.I.
- 一対比較の整合性の指標です.この値が高いと一対比較に整合性がないことを意味しています.極端な場合,「燃費」より「価格」を重要視し,「価格」より「デザイン」を重要視したのに,「デザイン」より「燃費」を重要視した場合(じゃんけんの3すくみのような状態),この指標が高くなります.0.15より大きいとき,一対比較をやり直すことをお勧めします.
- 一対比較よりもとめた重要度
- 一対比較よりもとめた重要度です
相互作用の決め方の選択
相互作用の指標の決め方の選択のページです.

相互作用の指標は,λファジィ測度のλにあたるものです.この指標により,高得点の評価項目を重要視したり,逆に低得点の評価項目を重要視したりできます.
詳しくは,それぞえの決め方のページの説明で説明します.
ただし,どの決め方を選んでも,λが同定されます.
選択に迷ったときは,「一対比較」を利用すると,比較的簡単に決められます.
- ξを手入力([0,1]区間の値)
- 相互作用の度合いξで指定します.
- 0と1の間の値で指定します
- 意味は下の表のようになります
ξ | 0 |
0 < ξ < 0.5 | 0.5 | 0.5 < ξ < 1 | 1 |
ファジィ測度 | 全体集合を 除いて0 | 優加法的 | 加法的 | 劣加法的 | 空集合を 除いて1 |
評価法 | 最小値による評価 | 最小値と平均値の中間 | 加重平均 | 最大値と平均値の中間 | 最大値による評価 |
呼び方 | | 補完的 | | 代替的 | |
| | バランス重視 | | 個性重視 | |
| | 消極的な | | 積極的な | |
| | 慎重な | | 大胆な | |
| | 悲観的な | | 楽観的な | |
| | 保守的な | | 冒険的な | |
| | 確実性重視 | | 可能性重視 | |
たとえば,評価項目間のバランスを重視した評価を行いたいとき,ξ=0.2と指定します.
- 0.5で通常の加重平均になります
- 1に近づければ近づけるほど,最大値による評価に近づきます
- 0に近づければ近づけるほど,最小値による評価に近づきます
- 0と1の列の記述は,「同定方法の選択」で「入力の数基準」を選んだときのみ有効です.
- λとは,正負の方向が逆なので注意してください.
- λを手入力
- 相互作用の度合いλで指定します.
- -1以上の値を入力してください
- 意味は下の表のようになります
λ | -1 < λ < 0 | 0 | 0 < λ |
ファジィ測度 | 劣加法的 | 加法的 | 優加法的 |
呼び方 | 代替的 | 加重平均 | 補完的 |
| 個性重視 | | バランス重視 |
| 積極的な | | 消極的な |
| 大胆な | | 慎重な |
| 楽観的な | | 悲観的な |
| 保守的な | | 冒険的な |
| 可能性重視 | | 確実性重視 |
- 0で通常の加重平均になります
- -1に近づければ近づけるほど,最大値による評価に近づきます
- 大きければ大きいほど,最小値による評価に近づきます
- 一対比較
-
最大値と最小値のどちらを重要視するのかの一対比較により,λを求めます.

「最小値」,「最大値」という単語は,問題によって次の単語におきかえることができます.
元の単語 | 最小値 | 最大値 |
他の呼び方 | 補完的 | 代替的 |
| バランス重視 | 個性重視 |
| 消極的な | 積極的な |
| 慎重な | 大胆な |
| 悲観的な | 楽観的な |
| 冒険的な | 保守的な |
| 確実性重視 | 可能性重視 |
「バランス重視」か「個性重視」で評価するときは,最小値を「バランス重視」,最大値を「個性重視」で置き換えます.たとえば,「(評価項目間の)バランスがとれていること」を,「1つの評価値でもよいものがあること(個性重視)」より「重要」と考えるとき,上の図のようになります.
- n=2の出力値から決定
- 仮想的な2入力から,総合評価値を求め,それによって,相互作用の指標の値を定める方法です.
「この問題で,同じ重要度の2つの評価項目(A,B)で,Aの入力値が50,Bの入力値が60のとき,総合評価値はいくつが適当だと思いますか? 50と60の間の数値で答えてください.」という問いに答えることで求めます.
以下の図では,
重要度を手入力で,「価格」を7,「性能」を5,「デザイン」を3,「燃費」を4にし,
相互作用の指標は,ξを手入力で,0.2に設定した例で説明します.
ファジィ測度の同定方法の選択
ファジィ測度の同定方法の選択のページです.

- 入力の数基準
- 重要度の数の分,入力があるとして計算する方法です.例題では,「価格」が7入力,「性能」が5入力,「デザイン」が3入力,「燃費」が4入力あるとして計算します.
- ξを1に設定することにより,最大値を出力,ξを0に設定することにより,最小値を出力させることが可能です.
- 相互作用の指標を重要視した同定方法です
- シングルトンファジィ測度比率基準
- シングルトンのファジィ測度の値の比率を重要度に一致するようにファジィ測度を同定します.従来,よく使われていた同定方法です
- Shapley値基準
- ファジィ測度のShapley値と重要度を一致させます.Shapley値はゲームの理論などで使われているの指標で,ファジィ測度の場合,入力値が1増えたときの出力の増大の平均値になります.重要度を重視した評価を行うときに使います.
ファジィ測度の表示
同定されたファジィ測度が表示されます.以下では,「入力の数基準」を選択したものとして,例題を説明します.

入力値の入力
入力値(各評価項目の評価値)を入力します.

- 「結果のテキストファイルへの出力(タブ,改行区切)」にチェックを入れると,結果のテキストファイルを得られ,表計算など他のソフトウエアで,結果を利用できます.
ショケ積分結果の表示
ショケ積分結果の表示を表示します.

分析結果を表計算ソフトウエアで利用するときは,次のようにします.
- 前の画面で,「結果のテキストファイルへの出力(タブ,改行区切)」にチェックを入れると,下の図の「txt047.txt」のようにテキストファイルにリンクが張られます.

- そのリンクをクリックし,ブラウザでテキストファイルを表示させます.
- ブラウザのメニューで,「編集→すべて選択」とします(ブラウザにより異なるかもしれません).
- ブラウザのメニューで,「編集→コピー」とします(ブラウザにより異なるかもしれません).
- 表計算ソフトウエアを起動し,「編集→貼り付け」とします(表計算ソフトウエアにより異なるかもしれません).
感度分析の設定
感度分析では,ξやλを変化させて,総合評価値がどのように変化するのかを分析します.

- 変化させる値
- ξかλを選択します.ξとλでは,横軸が逆になります.
- 出力するファイル
-
- 計算結果のテキストファイル:感度分析の結果を表計算など他のソフトウエアで利用するとき,チェックを入れます.
- ファジィ測度の変化のテキストファイル:感度分析を行うために同定したファジィ測度を表計算など他のソフトウエアで利用するとき,チェックを入れます.
- GNUPLOTのファイル:画像を生成するために作成したGNUPLOT用のファイルです.ファイルを修正して,グラフを修正することができます.
- EPSファイル:ポストスクリプトファイル形式の画像も出力するときに,チェックを入れます.
- カラー表示:画像(含むEPSファイル)をカラーにするときに,チェックを入れます.カラーを指定してモノクロプリンタで印刷すると線の区別がつきにくくなります
- 感度分析を行うデータの番号を入力してくさい(最大10個)
- 感度分析を行う評価対象を指定します.
例題では,評価対象は3つなので,すべて指定しました.
感度分析のグラフ
下に,感度分析の表示例を示します.

ξを変化させたグラフ(カラー)

λを変化させたグラフ(カラー)

ξを変化させたグラフ(モノクロ)
この例から,A車(データ1,赤の線)は,評価値間のバランスを重視した場合(ξの値が小さいとき)総合評価値がトップになり,ξ=0.25付近で,B車やC車に逆転される.ξ=0.25付近より大のときは,B車がトップになる.
関連するファイル
- GNUPLOTのコマンドのファイル・GNUPLOTのデータファイル
- 図を作成するに当って自動生成したGNUPLOTのファイルです.本システムでは,GNUPLOT 日本語化・機能拡張 (PLUS-enhanced) パッチを利用しています.若干の修正を行えば,オリジナルのGNUPLOTでも動作すると思います.
- 計算結果のテキストファイル
- 感度分析結果のテキストファイルです.
- ファジィ測度の変化のテキストファイル
- 感度分析を行うために同定したファジィ測度を表計算など他のソフトウエアで利用できます.
- EPSファイル
- EPS形式の画像は,ポストスクリプト形式の画像を扱えるソフトウエアで利用することができます.
その他
数値の変更([BACK]ボタン)
すでに入力したデータを変更するには,ブラウザの[BACK]ボタン([戻る]ボタン)を使って戻り,変更してください.数値をいろいろ変更してみるときは,「汎用ファジィ測度ファジィ積分の計算」を使ってください.
途中経過の保存
途中経過を保存し,後日再開することは,仕様としては考えていなかったのですが,次のような方法で可能です.
- 途中の画面を「html」形式で保存します.そのとき,拡張子を「html」に変更します.
- 保存したHTML形式のファイルをエディタで一部修正します.CGIで呼び出すプログラムファイルのURLを絶対指定にします.fm03.cgiの部分は,保存するページにより異なります.
修正前:<FORM ACTION="fm03.cgi" METHOD="POST">
修正後:<FORM ACTION="http://163.136.194.65/~takahagi/fuzzyweb/fm03.cgi" METHOD="POST">
(注意:将来,プログラムの仕様を変更したり,URLを変更したりして,保存したファイルが使えなくなることがあります.)
- 再度,利用するときは,そのファイルをブラウザで呼び出します.
参考文献
本Webのλファジィ測度によるファジィ測度の同定および,そのショケ積分をすることは,
下記の論文に基づいています.
高萩栄一郎:重要度とλによるλファジィ測度の同定について,日本ファジィ学会誌,Vol.12,no.5, pp.665-676(2000)
本Webを使用して分析をし,参考文献として記載するときは,上記の文献でお願いします.
上記文献が必要で,入手が困難な方は,下記のメールアドレスまで連絡ください.
この文書に関する問い合わせは,
takahagi@isc.senshu-u.ac.jp
までお願いいたします.
このマニュアルに記載したWebは,http://www.isc.senshu-u.ac.jp/~thc0456/fuzzyweb.htmlから利用できます.
© 2001 高萩栄一郎