「汎用ファジィ測度ファジィ積分の計算」利用法

このページは，「汎用ファジィ測度ファジィ積分の計算」利用法の利用法を記したものです．

このソフトウエアは，CGIというシステムを利用して，インターネット上で対話的に計算ができます.

1. 入力値やファジィ測度の変更が容易にできます．
2. 表計算ソフトウエアからの貼り付けなど，上記ソフトになかった機能がつけ加わっています．
3. ファジィ積分方法に菅野積分などが加わり，分析の機能が加わっています．
4. 以上のような機能が追加されているので，パラメータの指定が多くり，若干操作性が悪くなっています．

評価項目数・データ数の入力

評価項目数(n)(最大10)

評価項目数(入力値の数)の数を入力．ただし，全角文字は不可です．1から10までの整数で指定してください．
例題の場合，評価項目は，「価格」，「性能」，「デザイン」，「燃費」の4つなので4と記入します．

データ数(m)(最大1000)

データ数（評価対象の数，代替案の数）を入力します．
例題では，A車,B車,C車の3つですので，3と入力します

制限

システムの都合により，評価項目数×データ数は5000以下で指定してください

注意

この評価項目数とデータ数は分析の途中で変更できません．もし，データ数が増える予定があるときは，データ数をあらかじめ多めに指定しておくと良いでしょう．

メニュー

• ファジィ測度の設定
  ファジィ測度を設定するには，次の2つの方法があります． どちらかの方法で設定します．
  • ファジィ測度を手動で設定
    1. 「ファジィ測度の同定方法の入力・変更」で，「ファジィ測度を手入力 」を選択
    2. 「ファジィ測度を手作業で入力・変更する」でファジィ測度を設定する
  • ファジィ測度を各評価項目の重要度と相互作用の指標(λ・ξなど)から設定
    1. 「ファジィ測度の同定方法の入力・変更」で，「入力の数基準」，「シングルトンファジィ測度比率基準」，「Shapley値基準」のどれかを選びます．
    2. 「評価項目の重要度の入力・変更」で，各評価項目の重要度を入力します．
    3. 「λ（ξ）の入力・変更」で，相互作用の指標を入力します．
• データ(入力値,個別評価値)の入力 次の2つの方法で，入力できます．
  • 「通常の方法のデータ入力」は，Table形式の各入力値の入力欄があり．そこにデータをキーボードなどで入力します．
  • 「テキストの貼り付けによりまとめて入力」は，1つの入力欄に「Tab」や「,」，「改行」などで区切って入力する方法です．表計算ソフトウエアなどで，すでにデータを作成済みのとき使います．
• ファジィ積分方法の指定
  • 「ファジィ積分法を入力・変更する」で選択します．「ショケ積分」，「菅野積分」，「逆菅野積分」，「多重線型積分」から選べます．
• 積分結果の表示
  積分結果は，次の3つの中選べます．
  • 「積分結果を表示」：数値で表示します．
  • 「積分過程を表に示す」：計算過程を表の形で表示します．
  • 「積分過程を図に示す」：計算過程を表の図で表示します．

項目名の入力・変更

ファジィ測度の同定方法の入力・変更

ファジィ測度の同定方法の選択のページです．

ファジィ測度を手入力

すべてのファジィ測度の値を手入力で指定する方法です．この方法を選択したら，「ファジィ測度を手作業で入力・変更する」でファジィ測度を設定してください．

入力の数基準

重要度の数の分，入力があるとして計算する方法です．たとえば，機能,価格，デザインの重要度が7:5:3のとき，「機能」が7入力，「価格」が5入力，「デザイン」が3入力あるとして計算します．

• ξを1に設定することにより，最大値を出力，ξを0に設定することにより，最小値を出力させることが可能です．
• 相互作用の指標を重要視した同定方法です

「評価項目の重要度の入力・変更」で各評価項目の重要度を入力し,「λ（ξ）の入力・変更」で，相互作用の指標を入力します．

シングルトンファジィ測度比率基準

シングルトンのファジィ測度の値の比率を重要度に一致するようにファジィ測度を同定します．従来，よく使われていた同定方法です．「評価項目の重要度の入力・変更」で各評価項目の重要度を入力し,「λ（ξ）の入力・変更」で，相互作用の指標を入力します．

Shapley値基準

ファジィ測度のShapley値と重要度を一致させます．Shapley値はゲームの理論などで使われているの指標で，ファジィ測度の場合，入力値が1増えたときの出力の増大の平均値になります．重要度を重視した評価を行うときに使います． 「評価項目の重要度の入力・変更」で各評価項目の重要度を入力し,「λ（ξ）の入力・変更」で，相互作用の指標を入力します．

ファジィ測度を手作業で入力・変更する

重要度の入力方法の選択

評価項目の重要度の決定方法（手入力　または　一対比較）

重要度の決定方法を選択します

手入力

あらかじめ各評価項目の重要度がわかっているときに選択します．

一対比較

AHPなどで使われている一対比較法で重要度を同定します．

重要度の入力（手入力）

このページは，評価項目の重要度の決定方法で「手入力」を選んだときのみ表示されます．重要度を入力します

重要度を入力してください．ただし，正の数値で指定してください．

例題で，たとえば，重要度が，「機能」が7，「価格」が5，「デザイン」が3とき，図のように指定します．

重要度の入力（一対比較）

このページは，評価項目の重要度の決定方法で「一対比較」を選んだときのみ表示されます．

一対比較では，各評価基準同士を比較して，どちらがどれくらい重要かを入力します． この作業をすべての評価基準の組で行い，各評価基準の重要度を求めます．

図の例

• 1行目は，「機能」と「価格」の重要度の比較で，「機能」の方が「若干重要」のときの例です．
• 2行目は，「機能」と「デザイン」の重要度の比較で，「機能」の方が「あきらかに重要」のときの例です．
• 3行目は，「価格」と「デザイン」の重要度の比較で，「価格」の方が「重要」のときの例です．

重要度の決定

一対比較行列

重要度を求めるための行列です．詳しくは，AHPの本などを参照してください

C.I.

一対比較の整合性の指標です．この値が高いと一対比較に整合性がないことを意味しています．極端な場合，「機能」より「価格」を重要視し，「価格」より「デザイン」を重要視したのに，「デザイン」より「機能」を重要視した場合（じゃんけんの3すくみのような状態），この指標が高くなります．0.15より大きいとき，一対比較をやり直すことをお勧めします．

一対比較よりもとめた重要度

一対比較より求めた重要度です

λ（ξ）の入力・変更

相互作用の指標の入力です．相互作用の指標は，λファジィ測度のλにあたるものです．この指標により，高得点の評価項目を重要視したり，逆に低得点の評価項目を重要視したりできます． 詳しくは，それぞえの決め方のページの説明で説明します． ただし，どの決め方を選んでも，λが同定されます．

選択に迷ったときは，「一対比較」を利用すると，比較的簡単に決められます．

ξを手入力([0,1]区間の値）

相互作用の度合いξで指定します．

• 0と1の間の値で指定します
• 意味は下の表のようになります
  

  ξ	0	0 < ξ < 0.5	0.5	0.5 < ξ < 1	1
  ファジィ測度	全体集合を 除いて0	優加法的	加法的	劣加法的	空集合を 除いて1
  評価法	最小値による評価	最小値と平均値の中間	加重平均	最大値と平均値の中間	最大値による評価
  呼び方		補完的		代替的
  		バランス重視		個性重視
  		消極的な		積極的な
  		慎重な		大胆な
  		悲観的な		楽観的な
  		保守的な		冒険的な
  		確実性重視		可能性重視

  
  たとえば，評価項目間のバランスを重視した評価を行いたいとき，ξ=0.2と指定します．
• 0.5で通常の加重平均になります
• 1に近づければ近づけるほど，最大値による評価に近づきます
• 0に近づければ近づけるほど，最小値による評価に近づきます
• 0と1の列の記述は，「同定方法の選択」で入力の数基準を選んだときのみ有効です．
• λとは，正負の方向が逆なので注意してください．

λを手入力

相互作用の度合いλで指定します．

• -1以上の値を入力してください
• 意味は下の表のようになります
  

  λ	-1 < λ < 0	0	0 < λ
  ファジィ測度	劣加法的	加法的	優加法的
  呼び方	代替的	加重平均	補完的
  	個性重視		バランス重視
  	積極的な		消極的な
  	大胆な		慎重な
  	楽観的な		悲観的な
  	保守的な		冒険的な
  	可能性重視		確実性重視

• 0で通常の加重平均になります
• -1に近づければ近づけるほど，最大値による評価に近づきます
• 大きければ大きいほど，最小値による評価に近づきます

一対比較

最大値と最小値のどちらを重要視するのかの一対比較により，λを求めます．


「最小値」，「最大値」という単語は，問題によって次の単語におきかえることができます．

元の単語	最小値	最大値
他の呼び方	補完的	代替的
	バランス重視	個性重視
	消極的な	積極的な
	慎重な	大胆な
	悲観的な	楽観的な
	冒険的な	保守的な
	確実性重視	可能性重視

「バランス重視」か「個性重視」で評価するときは，最小値を「バランス重視」，最大値を「個性重視」で置き換えます．たとえば，「（評価項目間の）バランスがとれていること」を，「1つの評価値でもよいものがあること（個性重視）」より「重要」と考えるとき，上の図のようになります．

n=2の出力値から決定

仮想的な2入力から，総合評価値を求め，それによって，相互作用の指標の値を定める方法です．
「この問題で，同じ重要度の2つの評価項目(A,B)で，Aの入力値が50,Bの入力値が60のとき，総合評価値はいくつが適当だと思いますか？ 50と60の間の数値で答えてください．」という問いに答えることで求めます．

ファジィ測度の表示（含むShapley値）

同定されたファジィ測度

重要度と相互作用の指標から同定されたファジィ測度，または手入力されたファジィ測度です．

Shapley値

各評価項目のファジィ測度から求めた重要度です．Shapley値基準の時のみ，この値と「評価項目の重要度の入力・変更」で入力した重要度と一致します．

メビウス反転値

通常の方法のデータ入力

対応する欄にデータ（個別評価値，入力値）を入力します．

テキストの貼り付けによりまとめて入力

この方法でのデータ入力は，表計算ソフトウエアやテキストファイルなどですでに電子的なデータがある場合に利用します．

表計算ソフトウエアの場合のデータの転送方法（Windowsなどの場合）

1. 表計算ソフトウエアを起動し，転送したいデータを表示します
2. 転送したい部分を範囲指定します．ただし，下の図のように，見出しの行や列（表頭や表側）は含めないでください．
   
   
   
3. クリップボードの転送します（メニューの[編集]→[コピー]など）
4. Webの画面（データ入力）の入力欄をクリックし，クリップボードの内容を貼り付けます（メニューの[編集]→[貼り付け]など）．

• エディタなどで，見出しの行や列（表頭や表側）は含めないデータを作成してください
• データのデータの区切り文字は，タブ，空白，カンマ，改行です．
• テキストデータをクリップボードを経由して貼り付けることにより，入力できます．

積分方法の選択

ショケ積分

線型和の拡張になるファジィ積分方法です．本Webは，主にこの積分を利用することを念頭に作られています．

菅野積分

最初に提案されたファジィ積分法です．MinMax演算により出力値を計算します．

逆菅野積分

多重線型積分

積分結果を表示

上の図のようにファジィ積分結果を表示します．

また，ページの下方に「結果のテキストファイル」も出力されます（漢字コード：EUC)．入力値，積分値，ファジィ測度の値などのデータが記載されています．

「結果のテキストファイル」を表計算ソフトウエアで利用するには次のようにします．

1. 結果のテキストファイルのリンク（datXXX.dat)をクリックします．
2. すべてを選択します（メニューの[編集]→[すべて選択]など）．
3. クリップボードに転送します（メニューの[編集]→[コピー]など）．
4. 表計算ソフトウエアを起動し，適当な位置に貼り付けます（メニューの[編集]→[貼り付け]など）．

積分過程を表に示す

1. どの入力値を表の形にするのかを選択します．
2. 積分過程を表の形で表示します．

ショケ積分の場合

• 各行は1つの入力値に対応し，入力値の大きい順に表示されています
• 「下行との差」との差は，下の行との入力値の差を記しています．
• 「集合」は，項目名の上の行からの累積を示しています．
• 「ファジィ測度の値」は，集合に対応するファジィ測度の値です．
• 「積」は，「下行との差」と「ファジィ測度の値」の積です．
• 「合計」は，各「積」の値の和です．

菅野積分の場合

• 各行は1つの入力値に対応し，入力値の大きい順に表示されています
• 「集合」は，項目名の上の行からの累積を示しています．
• 「ファジィ測度の値」は，集合に対応するファジィ測度の値です．
• 「入力値とファジィ測度の値の小さい方の値」は，「入力値」と「ファジィ測度の値」の小さい方の値（MIN）です．
• 「最大値」は，各「入力値とファジィ測度の値の小さい方の値」の値の最大値です．

積分過程を図に示す

1. どの入力値を表の形にするのかを選択します．
2. 積分過程を表の図で表示します．

各矢印で縦と横の長さを指定した長方形が表形式の各行に相当します．（横がファジィ測度の値，縦が下の行との差，面積が積）． それぞれの長方形の面積（[]内の値）の和がショケ積分値になります．

関連するファイル

GNUPLOTのコマンドファイル，ファイル?

図を作成するに当って自動生成したGNUPLOTのファイルです． 本システムでは，GNUPLOT 日本語化・機能拡張 (PLUS-enhanced) パッチを利用しています． 若干の修正を行えば，オリジナルのGNUPLOTで動作すると思います．

EPSファイル

EPS形式の画像は，ポストスクリプト形式の画像を扱えるソフトウエアで利用することができます．

感度分析を行う

感度分析の設定

感度分析では，ξやλを変化させて，総合評価値がどのように変化するのかを分析します．

変化させる値

ξかλを選択します．ξとλでは，横軸が逆になります．

出力するファイル

• 計算結果のテキストファイル:感度分析の結果を表計算など他のソフトウエアで利用するとき，チェックを入れます．
• ファジィ測度の変化のテキストファイル：感度分析を行うために同定したファジィ測度を表計算など他のソフトウエアで利用するとき，チェックを入れます．
• GNUPLOTのファイル:画像を生成するために作成したGNUPLOT用のファイルです．ファイルを修正して，グラフを修正することができます．
• EPSファイル:ポストスクリプトファイル形式の画像も出力するときに，チェックを入れます．
• カラー表示:画像（含むEPSファイル）をカラーにするときに，チェックを入れます．カラーを指定してモノクロプリンタで印刷すると線の区別がつきにくくなります

感度分析を行うデータの番号を入力してくさい（最大10個）

感度分析を行う評価対象を指定します．
例題では，評価対象は3つなので，すべて指定しました．

感度分析のグラフ

下に，感度分析の表示例を示します．

ξを変化させたグラフ（カラー)

λを変化させたグラフ（カラー)

ξを変化させたグラフ（モノクロ)

関連するファイル

GNUPLOTのコマンドのファイル・GNUPLOTのデータファイル

図を作成するに当って自動生成したGNUPLOTのファイルです．本システムでは，GNUPLOT 日本語化・機能拡張 (PLUS-enhanced) パッチを利用しています．若干の修正を行えば，オリジナルのGNUPLOTで動作すると思います．

計算結果のテキストファイル

感度分析結果のテキストファイルです．

ファジィ測度の変化のテキストファイル

感度分析を行うために同定したファジィ測度を表計算など他のソフトウエアで利用できます．

EPSファイル

EPS形式の画像は，ポストスクリプト形式の画像を扱えるソフトウエアで利用することができます．

その他

途中経過の保存

途中経過を保存し，後日再開することは，仕様としては考えていなかったのですが，次のような方法で可能です．

1. 途中の画面を「html」形式で保存します．そのとき，拡張子を「html」に変更します．
2. 保存したHTML形式のファイルをエディタで一部修正します．CGIで呼び出すプログラムファイルのURLを絶対指定にします．fm03.cgiの部分は，保存するページにより異なります．
   修正前：<FORM ACTION="fm03.cgi" METHOD="POST">
   修正後：<FORM ACTION="http://163.136.194.65/~takahagi/fuzzyweb/fm03.cgi" METHOD="POST">
   （注意：将来，プログラムの仕様を変更したり，URLを変更したりして，保存したファイルが使えなくなることがあります．）
3. 再度，利用するときは，そのファイルをブラウザで呼び出します．

参考文献

この文書に関する問い合わせは，

takahagi@isc.senshu-u.ac.jp

このマニュアルに記載したWebは，http://www.isc.senshu-u.ac.jp/~thc0456/fuzzyweb.htmlから利用できます．

© 2001 高萩栄一郎