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活動記録:
2007年ゼミ活動第10回(07月19日) 書記・WEB:Shimane.K

(1) 諸連絡   
(2) 今週の内容   


諸連絡

諸連絡:
■本日の打ち上げは合宿のときに一緒にやります。合宿費は今日中に、無理な場合は渡せる日を教えてください。14時に箱根湯本に集合です。
■ 学生アルバイトを募集しています。
■ 近況報告→Ono.S、Iwase,F

本ゼミ

今週の内容
プレゼンテーション

政府班
今週の内容

[税制面からのアプローチ]
ジニ係数の現状
→現在格差をあらわすジニ係数を考察してゆくと、当初所得においてではさほど世代間格差は表れないが、所得再分配後では高齢者の格差が増大することが分かった。

税制と社会保障の所得再分配の寄与度について
→まず、個別のベータを見ると社会保障では当初所得ジニ係数と再分配後のジニ係数はそれほど差が見られなかった。また、税に関しても同じようなことがいえる。次に社会保障の再分配の効果なのですが、社会保障によって再分配されることによってジニ係数が0.1%の大きな差が見られた。このことにより、社会保障は所得再分配に効果があった。最後に税と社会保障の改善度について考察すると、1981年以降社会保障の改善度が税の改善度を超えて、2003年にいたるまで改善度には開きがで、最新のデータでは社会保障の改善度寄与度が23パーセント、税の所得分配による改善度は1パーセントとなっている。このことによって、所得分配は社会保障に最近は改善度が高いといえる。

所得税についての考察
日本における所得税の変化は昭和61年以降税構造の簡素化が起こり15段階から5段階亜へと変化した。そのことによっては国民にとって高所得者にとっては税負担が軽くなり、低所得者に対してはきつい税体系に変化した。

[社会保障について]

年金について
→年金について年金には終身または一定期間にわたり、毎年定期的に一定の金額を給付するする制度で、支給される金銭である。年金の目的には、老年・障害。死亡などによる補償を目的とするものである。公的年金に関しては、国すべてが国民の面倒を見る制度ではなくて、長生きしすぎたことに対する保険である。年金はどんなに長生きしても死ぬまで定期収入として受け取れるメリットがある。

年金での問題
→現在メディアで騒がれているように年金での問題点は、年金の未納率、保険料の徴収不能が上昇しているこのことの一因としては、やはり低所得者が増加し、保険料を支払えない人が増加したのではないかと考えられる。

年金での世代間格差の問題について
→1960年代の当初の計画では本格的な年金給付ではなく、楽観的な見通しだったが、保険料を低く見積もってしまったのは、成長率と割引率の想定を間違ってしまったことがあったからだ、また、ゼロ成長時においては、ありえない高い割引率であった。また人口の高齢化を著しく過小評価してしまったそのことによって、世代間での格差が生まれてくる要因となったのだ。

年金のこれからの対策
→これから、国家財政がきつくなる中で私たちは2つの提案をしようと思います。一つ目は年金の支給年齢を引き上げて年金額の支給額を7割程度までに減らすこと。二つ目としては、保健負担者を増やすことがあげられる。この具体的な方法としては、女性労働率を高め、また高齢者の労働率を高めて、また外国人労働者にも制度をしっかり整備し保険料を徴収できるようなシステムが必要とされる。

生活保護について<br> →生活保護に関しては、憲法25条に即して国民は最低限度の生活が保護されている。そのことが生活保護の意義である。現在生活保護者世帯は増加となっている。バブル時期のときは一時期減少傾向にあったのでが、経済が停滞していったバブル後から生活保護の件数が増加したことが分かった。またその時期に保護の給付水準が引き下げられたことも要因として挙げられる。世帯別に考察すると、高齢者への生活保護支給は年々増加している。しかし、注目すべき点は障害者に対しての生活保護が平成7年以降に減少していることである。これは、介護の段階的な格付けによって補償額が変わったことが一因としてあがるのではないかと考える。

[結論]
今回の分析によって、政府の再分配効果は税制よりも社会保障に寄与していた。また、今後年金を支給年度をあげる必要性、また保険料を徴収する負担数を増やさなければならない。今回分析して、国の財政政策にどのような風に使われているのかなど、幅広い分析をしてゆかないといかないと感じました。

家計班
今週の内容

[所得格差の現状]
現在の所得格差の実態
→現在所得格差が拡大していると言われているが、それは事実であろうか。そしてそれはなぜ起こったのか。今回は家計における所得格差ということで、所得格差を図る指標として所得再分配がなされた後のジニ係数を用いて分析、考察を行う。歴史的に見ると、所得再分配調査によるジニ係数は年々わずかながらであるが増加していることより所得格差が拡大していると言える。これを世代別に分けてみると、若年層特に30歳未満においては年々急激な拡大を見せているが、60歳以上の高齢者においては高い水準にはあるものの、ジニ係数は現状している。これより高齢者においては年金などの所得再分配が有効に働いているが、若年層が拡大していることによって国全体の格差が拡大していると考え、若年層の所得格差がなぜ拡大したのか。その要因を考える。

格差拡大の要因
→若年層において所得格差が拡大した要因として、雇用形態の変化が挙げられる。1985年、プラザ合意により金融緩和がされ、市場に円が出回った。これによりバブル経済となり過剰な投資が行われた。1990年、政府が貨幣の総量規制を行ったためバブルが崩壊し不況となった。よって企業は人件費を削減するために正社員のリストラを行い、その代わりに安い賃金で非正規雇用を雇い始めたことにより非正規雇用が広がった。非正規雇用は平成元年には労働者の20%程度であったが現在は労働者の3分の1以上を占めていることから、この20年間で急激に増加しており、まだ頭打ちになる様子は見られない。安い賃金で雇われる人が特に若年者で増加していることから、若年層においては非正規雇用によって所得格差が拡大していると考えられる。

所得階級における消費の違い
→では、所得に違いがあると家計における消費のパターンはどのように違うのだろうか。全国消費者実態調査によると、主に家で食べる食費や住居費など生活必需品による差はあまり見られない。しかし。外食費、交通費、教育費、教養娯楽費の4項目は階級5分位のうちの一番下と上の階級で比較すると1.5倍以上の差が見られた。現在国全体の所得が低下しているとのデータも見られており、それをふまえると上記の4項目への支出が減少するのではないか。次章からはその4つの産業について考察する。

[所得格差の各産業に与えうる影響]
自動車関係費
→まず、交通通信費から見ていく。交通通信費には公共交通機関、各自の自動車関係費、電話や郵便代などの通信費の主に3つに分けられる。この中で特に所得との関係性が高いものが自動車関係費である。低所得者においては自動車保有率が比較的低く、これは自動車を買うと購入費以外にガソリンや保険などといった維持費が多くかかり、そのような人にとってはそれが大きいことが要因として考えられる。では、現在低所得者が増加している傾向にあり、このままでは自動車産業は衰退していってしまうのだろうか。日本が生産している自動車の国内販売台数は年々減少しており1994年から2006年の12年間で100万台以上減っているが、近年のガソリンの価格の高騰や環境保護のために規制が強化されたことにより効率よく走ることができる日本車への需要が海外で高まり、同12年間で輸出に向けられる車の台数は400万台以上増加した。したがって、自動車産業は海外への輸出に傾注することで挽回が可能である。

教育費
→低所得者の学費にかける金額は少ない。しかし、近年大学への進学率、進学者数ともに増加している。これはなぜだろうか。最終学歴別の月間給与額を見ると、中卒、高卒、短大卒においての平均賃金は50万円前後で大差はないが、大卒、院卒になると約60万円と一気に跳ね上がる。よって、最終学歴によって所得が大きく違うということがわかる。しかし、これをさらに男女別に分けてみて見ると、男性においては最終学歴によって非正規雇用の割合が大きく違い、女性は正規の割合が大卒の方が断然多い。従って男性において低所得者が、女性においては高所得者が増加しており、所得格差が拡大していると考えられる。これまでの事柄から、大学進学にはそれなりに所得が必要であるが、雇用形態により賃金に差が生じてしまう。大学進学が増えて重要視されている中で低所得者が増えており、今後進学に影響がでるのではないだろうか。では、奨学金制度はどのようになっているのだろうか。日本の奨学金は日本育英会が請負っていたが、2004年以降は独立行政法人日本学生支援機構に委譲した。日本育英会の奨学金制度には無利子貸与のものと有利子のものがあったがバブル崩壊後に返還率が低迷したことや不景気の中で経済的に奨学金を希望する学生が増加した。その結果、卒業後の一定期間に教育や研究職に従事することで返還が免除される制度が廃止され有利子の奨学金が拡充された。人数も有利子奨学金を受けている学生が増加している。これらのことから、大学進学が増加し、奨学金の必要性が高まる中で有利子貸与が増えてしまっては今後の教育の機会の均等に影響を与えてしまう。

教養娯楽費
→家計の教養娯楽費は時系列で見てみると低所得者では減少しており高所得者では増加している。しかし国全体では減少しているため教養娯楽サービスとテレビなどの教養娯楽耐久財の2つに分けてみるとサービス費に対する支出が減っている。そのサービス費のなかでも旅行費特に国内外問わずパック旅行に著しい変化が見られるため、旅行業に影響を与えうると考えた。

外食費
→最後に外食費の考察を行う。現在の外食産業は国民の多様化した消費によって大きく変化しており、1世帯当たり年間に使う外食費というのは少なくなっている。しかしこれは一番所得の低い階級と高い階級の外食に対する支出にはあまり変化がないことから中所得症の影響が強いと考えられる。外食費の減少につれて外食市場の市場規模も縮小している。これは企業の統合や合併、ファミレスを家族団欒の場として利用、支えて来た段階の世代の減少による客離れ、人手不足などが挙げられる。では、年々売り上げが減少し産業規模も小さくなっている中、どのような対策が必要であろうか。その対策案として、良い品質で、高所得者をターゲットとした事業推進や、オリジナリティーの追求、メディアの利用による消費者獲得を行うことで産業の衰退を防ぐことはできるのではないだろうか。

[結論]
以上所得格差について考察した。格差が拡大したこと、国全体の所得が下がっていることから産業の縮小や売り上げの減少、教育の機会の不平等という問題点が挙げられた。しかし、自動車産業や外食産業のようにターゲットの狙いを定めた事業を行うことにより効率よくものを生産販売することができるのではないか。また、教育の機会の不平等に対しては国がもっと積極的に動くことで解消されるのではないかと考えた。

企業班
今週の内容

[業種間賃金格差の現状]
業種別賃金の推移
→企業における賃金格差の現状として、業種別賃金の推移をみていく。ここでは、財務省「法人企業統計年報」より、人件費を従業員給与、役員給与、福利厚生費の合計としてみていくことにする。業種としては、建設業、電気・ガス・熱供給・水道業、製造業、鉱業、卸売・小売業とする。バブル崩壊以降、企業は過剰な雇用をかかえ、また銀行からのリストラ促進させる行動から、減量経営に移行していった。労働分配率は、90年代後半から大きく減少していき、各業種別に影響を与えた。建設業、電気・ガス・熱供給・水道業では、営業利益の減少に伴い、人件費も同推移に減少していった。製造業、鉱業、卸売・小売業においても、人件費は減少していくのだが、それらの営業利益は近年増加している。これらの業種では、大幅に人件費の削減を行い、減量経営を行っているのである。

業種別賃金格差における考察
→前節でみたように、各業種で人件費削減の度合いが大きく異なっていた。これは現在の業種間賃金格差の状況である。これらを今後改善していくためには、人件費の増加が必要とされる。しかし、費用を削減し利潤最大を求める企業には、急激な増加を見込むことは難しいのである。収益の増加が十分条件である。現在、資本回転率にもみられるように、資本効率が低迷している状況である。この資本を効率的に運用させ、この効率化による収益増加が必要ではないかと考える。

[内的アプローチ]
技術進歩による資本の効率化
→技術進歩とは、同じ経済資源を利用してより多くの(量と種類)製品、あるいは、より良い品質の製品を供給するために、新製品の開発、新しい生産工程の導入・経営組織の導入などを行うことである。成長会計や内的成長論にもあるように、技術進歩の向上は経済成長に大きく寄与する。また、技術はスピルオーバー効果をもつ。需要側の側面として、専有可能性とアロー効果がある。前者は、技術情報をどれだけ専有できるかという程度であり、発明者が発明した技術を他者に使われることなく独占的に使用ができる状態である。後者は、既存の生産技術から得られる研究開発前の利潤の大きさが研究開発誘因に与える影響(置き換え効果)がある。また、供給側の側面においては、産学官連携などの共同研究開発がある。開発に必要な費用面でのリスクを分散できるメリットがある反面、共同に企業や大学等で研究を行った良い成果が、うまく企業に配分されなくなる等のデメリットも存在する。このような経済成長に寄与する技術進歩を支える制度として、知的財産制度がある。環境の変化に対応して、適切に法的ルールの変更がないと、企業の外的環境変化への対応を妨げ、経済の適切な構造変化を遅らせることになる。前述の技術進歩の需給側面が均衡するところでうまく市場価値が実現するためには、その価格で必ず取引が行われることを保証するような制度が必要とされるのである。次節では、知的財産制度としての特許制度について論じることとする。

特許制度上の問題と対策
→特許法35条を意訳したものである。使用者である企業が、従業者の職務発明について勤務規則等により、一方的に特許ないし、特許を受ける権利を帰属させる定めを置くことを認めつつ(同法2項の反対解釈)、その場合、当該従業者に相当の対価を支払わなければならないとしている(同法3項)。以下、従業者〔研究開発者〕を、リスク回避的と仮定して論じていく。上記の「相当の対価」という箇所は、経済学的からの視点では、インセンティブを引き出すうえでは望ましくない。この「相当の対価」という支払額算定のところでその実質的な効果の趣旨を生かす必要がある。裁判所が認定した「相当の対価の額」は、成果が出たあとの「事後」的な判断になっている。分配の判断においては、一般に、結果を見てからの事後的な判断は、事前の取り決めに比べて、歪みが生じやすい。それは判断の際に、開発が「成功した」あるいは「失敗した」という情報が加わっているからである。そのため、結果的に過大な評価をしたり、過少な評価をしたりしがちになる。その結果、開発のインセンティブにマイナスの影響をもたらす可能性がある。開発のインセンティブにとって重要なのは、開発実施段階で予想される報酬レベルである。それが適切になっていれば、適切なインセンティブが引き出される。しかし、裁判所が事後的に判断した結果によって報酬が決まるとなると、当事者はそれを織り込んで行動を変えることになる。顕著に成功した場合に高い報酬が裁判所から認められるとすれば、使用者とすれば、失敗した、あるいはあまり成功しなかった場合の報酬を大幅に引き下げざるを得なくなる(使用者は高い努力水準と低い努力水準の差をつけることで、従業者のインセンティブを高めさせるため)。そうなると、従業者は報酬に関して高いリスクにさらされることになり、本来開発実施段階で必要だったインセンティブが得られなくなってしまう。場合によっては、高いリスクを避けて、その開発活動に従事しなくなるかもしれない。さらに、従業者に高い報酬を与えるということは、裏返せば使用者はその場合相対的に低い収益しか得られないことを意味している。よって極端な場合には、使用者側のインセンティブを低下させ、本来の研究開発のインセンティブを大きく歪めてしまう可能性もある。よって、分配の仕方については、もう少し事前段階で当事者が含意したレベルを反映させるような仕組みが望ましいのでないかと考えられる。

[外的アプローチ]
最適貯蓄率の必要
→所得格差問題が存在するなか、経済においてあるべき状態とはどのような状態かを判断する必要がある(規範的分析)。ここでは、望ましい状態の判断基準を、1人当たりの消費の最大化と仮定する(理論過程に関しては省略,技術進歩率は1と仮定)。この望ましい状態の貯蓄率は、資本分配率に等しくなる。このときに、1人当たりの消費の最大化が得られる定常状態が描ける。資本分配率は、全体〔1〕から労働分配率を引いたものとして求め、貯蓄率(ここでは、家計貯蓄率)との推移をみる。一度は両者の推移の距離が縮まってきたものの、1998年以降、再びこの差が大きくなり、理論値から大きく乖離するようになったのである。ここから望ましい状態にしていくため、貯蓄率を上げていくことが必要となる。

貯蓄率低下の問題
→企業の資本分配率が上昇しているなか、現在貯蓄率は低下している。この要因としては、高齢化の影響、可処分所得減少による影響、利子所得減少による影響が考えられる。1つ目の高齢化の影響は、これはライフサイクル仮説による位置付けが根強く、貯蓄を切り崩す高齢者の増加により、マクロの総貯蓄が減少したため、貯蓄率も低下したのではないかというものである。2つ目の可処分所得減少による影響では、バブル崩壊以降の不況時に可処分所得の減少ほどには消費は落とすことができず、貯蓄は減少するというラチェット効果による貯蓄への影響が考えられる。3つ目の利子所得減少による影響であるが、現在の低金利によって利子所得が減少し、可処分所得の減少に影響を与えるというものである。このような要因から、今後の資本形成の源泉が国内資本市場では限られてくるのである。

最適貯蓄率への誘導と課題
→これらの問題に対し、3つ対策が考えられる。貯蓄優遇税制の導入、労働力参加率の増加、金融政策の自由度の回復が考えられる。2つ目の労働力参加率は、特にライフサイクル仮説からも考えられるように、貯蓄を切り崩す高齢者の再雇用を促進することによって、効果は見込めるのではないかと考える。また3つ目の金融政策の自由度の回復であるが、日本は投資の利子弾力性が低いなか、今後利上げをしていくなかで、どうインフレ期待を上昇させるかが大きな課題である。このような対策から、貯蓄額が増加していくと仮定すると、これをさらに投資に結びつけることが必要である。バブル崩壊以降、企業は内部留保を行うなど貯蓄超過の状態である。本来は資金不足主体とされる企業の貯蓄超過の状態や家計の貯蓄を、効率的に投資へまわしていくことが不可欠である。

[結論]
企業において、賃金格差を改善していくには、収益増加からの改善が望ましく、資本効率の低迷を効率的に研究開発を行うことによって、経済成長が見込まれる。所得格差問題と、資本形成の源泉である貯蓄率が低下しているなかで、貯蓄率を政策的に上昇させ、最適な経済成長させることことで、業種間賃金格差、所得格差問題の改善が見込まれると考える。


書記からの連絡

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