専修大学 寺尾 教養ゼミナール[2010年度版]
【寺尾】
数字に弱い私は、数字を使うだけでおおっと唸ってしまうのですが、内容も濃く、西里さん自身の見解も分かり、非常に良い発表だったと思います。AKBの感想を読んでいても、今回の発表でも、人件費に注目しておられますね。それが西里さんの日本社会に対する異議申し立てなのでしょうかね。
文化政策の難しいところは、「何を残すべきで、何を残さないべきか」を恣意的に選んでいるところなのではないか、と個人的に思っています。それ故に、結局は、ある一定の層に都合のいいものばかりが残る。現代演劇なんかは「外国が賞賛してくれる」ってなもんで助成金を出してくれるかもしれませんけど、そうじゃなければわけがわからんと打ち捨てられてしまうことでしょう……哀しいことに。文化政策の話は、(一応)歴史学科としては他人事ではありません。某大阪知事は博物館なんぞ潰れてしまえ、と言ってました。こうした発言は日本人の歴史や文化といったものに対する姿勢がちゃらんぽらんであることを露見させている気がします。まあ、私自身、博物館よりも飯のタネのほうが……おっと。
西里さんの発表は演劇がテーマでしたが、挙がった問題点は、演劇に留まるものではないような気がしました。資本・合理主義に傾き過ぎた日本は、これからどうなっていくのでしょう。とまあ悩んでも仕方がないのですが。発表お疲れ様でした。
【寺尾】
【発表者】
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