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森の日記―――書を捨てて森に入ろう
平成22年9月29日
昨日見た美しいものが今日は見えません。その代わりに、別の美しいものが見えます。昨日は雨だったが、今日は明るい陽光。でも、それだけではなく、植物は見えない速度で変化しているということでしょう。「時の花」。
見える速度にある物体は、現在のうちにある運動や変化をしていますが、見えない速度にある物体は時間のなかにいます。現在の運動や変化から時間とは何かを捉えようとすると、少し勘違いする。人生も、見えない速度で変化しています。「時は飛去しない」と道元がいっていますが、仏教的にはそれを気にするなということでしょうか。
いつのまにか、いろんな草木に花が咲いています。花といっても、大多数はとても小さな花の密集です。この方が普通で、人間が飾る一輪の花々の方が特殊なのでしょうね。ハナミズキという樹にも小さな花がいっぱい咲いていました。しかし、その香りの強烈さ、虫たちは、視覚だけでなく嗅覚で草木を捉えるのだろうから、ハナミズキは巨大な樹だということになるのかもしれないね。

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