その他(教育・研究)
第02回 前編(2004.04.05)(08.22一部修正)
【 アンデス高地の環境利用の特質に関する調査 2003年度 前編 】
2003年10月6-26日 ペルー共和国

2001年度より科学研究費「アンデス高地における環境利用の特質に関する文化人類学的研究 (代表者: 国立民族学博物館 山本紀夫教授)」調査隊に、 自然地理学分野研究分担者の一人として参加しています。
2003年度はペルー南部のプイカ村を拠点に、プーナ(高原)の自然環境を調査してきました。 「教育・研究」「アンデス第2回」は、2003年度の調査旅行を2回にわけて解説します。

【図0:10月9日 リマ>チャラ】
朝方リマを発ち、地上絵で有名なナスカ(Nazca)を経由して、一路南へ向かった。 Musseo Amano(天野博物館)のランドクルーザーはパンアメリカン・ハイウェイを疾走するが、 この日はチャラ(Chala)という漁村までがやっと。 それにしてもナスカ付近は乾燥が著しくて、残照の岩山には全く植生がない。 斜面はどんなプロセスで、いつ変化するのだろうか(→エルニーニョ)。チャラ泊。

▲ Page Top
【図1:10日 チャラ>コタワシ】
チャラから3時間ほどでカマナ(Camana)という地方都市に着く。 ここはペルー第二の都市アレキッパ(Arequipa)に近く、 海岸低地に面していて土地が肥沃・湿潤なため農漁業が盛んである。 いよいよ明日から高原定住生活が始まるので、市場で野菜や果物、 そして土地の人々への土産などを大量に仕入れた (写真左:川本さん 京都大・霊長研 、右:鳥居さん Museo Amano)。 コタワシ(Cotahuasi)泊。

▲ Page Top
【おまけ】
チャラからコタワシまで、道が実に長い。 急がねば暗くなる、と思いつつ、稲村隊長( 愛知県立大 )の強い奨めもあって アプラオ(Aplao)という河岸段丘面上の小さな町でゆったり昼食をとる。 ここはペルーで一番といってよいほど川エビ(カマロン:camaron)が美味しいことで有名なのだ。 まだ旬には早かったが、チュペ(chupe/約250円)とよばれる牛乳スープ風の煮込みや 揚げ物(フリート:frito/約530円)は絶品だった。 脱皮後まもないのか、エビの殻がまたとても柔らかかった。

▲ Page Top
【図2:11日 コタワシ>プイカ】
今回は稲村隊長が長年フィールドワークを続けてきた標高3800 mの プイカ(Puica) 村に滞在する。 私達の居候を引き受けてくれたのがマチャカ(Machaca)一家である。 私達の到着日にあわせるように、一家の若主人であるアルド(Aldo)の結婚式が行われるというので、 ランクルを駆って山道を急いだ。 村の教会は朽ちていたが、ミサを聞いているとなぜか厳かな気持ちになった。 写真は新郎新婦と、その両親や仲人たち。プイカ泊。

▲ Page Top
【図3:12日 プイカ】
今回の日程でプイカを訪問したのは、伝統的なものと少し違う新しい形態のお祭りが開催されるので、 その取材調査を稲村隊長が計画したからである。 私はスペイン語もろくに話せないし、その辺の畑で勝手に穴でも掘って地元民とトラブルになっても困るので、 この日は文化人類学者の調査風景を横目で見ながら時間を過ごした。 写真は、集落対抗駅伝(チャスキというインカ時代の飛脚を模したレース)のゴールの模様。プイカ泊。

▲ Page Top
【図4:13日 プイカ>コタワシ】
調査せず日々を過ごすのは精神的にも辛いので、 鳥居さんとシモンさん(Museo Amano)に同道してもらい、 私はいったん山を下りて谷に入った。昨年の野外調査や事前の空中写真判読により、 プイカ周辺の幅広の谷に巨大崩壊堆積物やその二次堆積物からなる段丘地形が存在することを掴んでいたからだ。 地形図を片手にランクルで走っては停まり、停まっては走りを繰り返して調査は順調に進んだ。 写真は、コタワシ近くの流れ山の断面。谷壁を作っている堆積岩が破壊されることなく数kmも流下したらしい。 時期不明。コタワシ泊。

▲ Page Top
【図5:14日 コタワシ>プイカ】

朝食もそこそこに調査に出る。谷のあちこちに巨大崩壊がみられる。 日本ではめったにみられない巨大な崩壊が、ここでは当たり前のように道の右左に出てくる。 地形のスケールが大きく写真に収めるのも一苦労だ。午後は谷底面の調査を行いつつ、プイカにもどる計画。 途中で例の 温泉 にも浸かった。行く先々で村人に聞かれたのは、「フジモリはいつ戻る」だった。 地方では未だフジモリ待望論が根強い。写真は、彼がこの村にヘリコプターで突然やってきて、 即決で建設が決まったという橋。同時に村に電気が通り、頑丈な堤防もできたそうだ。 古老は、そんなこと夢にも思わなかったと言った。プイカ泊。

▲ Page Top
【図6:15日 プイカ>ワクタパ】
今日からプイカを離れ、プーナに調査に出る。 途中からは車も入れないので、荷物をロバに背負わせ、 私達は馬に揺られて行くことに決まった。何ともいえない期待と緊張感に包まれる。

▲ Page Top
【 アンデス高地の環境利用の特質に関する調査 2002年度 食編 】へ
・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
【 アンデス高地の環境利用の特質に関する調査 2003年度 後編 】へ


-TOP- -研究室概要- -山の地形- -アンデス- -その他- -フィールドだより- -経歴- -業績- -Links- -English-