黄斑円孔手術体験記


森の日記―――書を捨てて森に入ろう


平成22年8月12日

 今日は放送大学に行ってきたので、往復4時間電車に乗っていました。電車のなかにはしばしばマナー違反のひとがいるからあまり好きではなかったのですが、人間も樹木だと考えればどうだろうと思ってみたら、随分と違っていて、楽だった。眠っているひとをうらやましいと思い、飲みものを飲むひとがいたら、自分にかかってもすぐ乾くだろうと思い、化粧しているひとがいたら、これから好きなひとに会いに行くのかなと思った。そういう風に考えた方が、自分も楽だと気がついた。

 人間は樹木と違って動けるから、その分自由だと思い込んでいるのですが、樹木にとっては、「自由」であることよりも、一人で立っていることの方に価値があります。人間は倒れやすいが、樹木は立ち続けている。倒れないためには、人間にも根が必要だなと思った。人間にとっての「根」って何だろうと考えたら、それは「未来」だと思い当たった。


         

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