黄斑円孔手術体験記


森の日記―――書を捨てて森に入ろう


2010年8月21日

 今日は、小さな樹木に目が行きました。小さな樹や草は近寄ってみると、葉の形がよく見えます。何と精妙な形をしていて、それぞれに異なっているのか、驚きです。やはり、先端にあって生長しつつある小さな葉っぱの密集している固まりが、何ともいえず美しい。花とどう違うのか、これに白や黄色の色がついていれば、花のように見えるだろう、と思いました。

 昔、新聞のコラムか何かで、「花とは植物の性器である」と書いてあって、なるほどと思った記憶がありますが、花は性器ではありません。なぜなら、それは虫たちを引き寄せるためのものであり、虫たちは交尾しにくるのではなく、蜜を吸いにくるのだからです(ハンマーオーキッドなどの擬態する花は別)。「性器」ということばは、動物たちや人間の性交渉の器官のイメージが強いことばですから、「花とは植物の性器である」とは誤解の多い表現です。

 それにしても、昆虫たちのために色をつけ香りをつけている花たちは、昆虫たちからはどう見えているのでしょうか。進化ということを考えると、昆虫たちにはそれに対応する器官があるに違いありませんが、人間のものとは違うので、まったく違った印象のはずで、花の好きな人間は、いわばそのおこぼれをもらっているわけです。

 昆虫たちは複眼だし、人間と猿以外の動物は左右に眼がついているので、花であれ樹であれ動物であれ、個体として識別することはないのでしょう。犬は人間を見分けるようですが、多分匂いが中心であって、顔かたちは付随的なものにすぎないのではないでしょうか。

 個体を識別して分類する、それは両眼が前面についている視覚中心の人間たちの思いつきですが、分類するなら、せいぜい高い樹、低い樹や草、中くらいの樹、くらいでもいいのではないでしょうか。幼稚園児にも分かるよね。顔をどのくらい、上向き、下向きにすればいいかで分かります。


         

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