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森の日記―――書を捨てて森に入ろう
平成22年9月11日
今日は体調が悪かったので、散歩も何か苦行のようでした。出かけてから気づいたけれども、いつもあと知恵。人間の思考は、傲慢な「さき知恵(プロメーテウス)」と愚かな「あと知恵(エピメーテウス」の組み合わせです。体調によって思考内容が変わるのに、そのことについて考察した哲学者はあまりいない。思考がばかばかしくなるからかな。
それでもふたつだけ発見がありました。ひとつはパースペクティヴと光と季節と風ばかりでなく、動くことによってのみ見えてくるものがあるということです。止まって見るというのは、何か人間の「さき知恵」のようですね。いつも動きながら見た方がいいのかもしれない。
もうひとつは、花の色。地面に小さな紫色の花がいっぱい落ちていました。花と葉の色の違いは、表面の光の反射の選択性によるものですが、それが何色か、眼の構造と細胞の違いから、生物次第なのです。「黄色とは直観だ」とか、「赤いとは何か」と問う哲学者もいますが、それ以前の問題だね。

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