黄斑円孔手術体験記


森の日記―――書を捨てて森に入ろう


平成22年9月14日

 森の朝の空気は、独特です。昼とは違う空気が漂っています。昼にはそれを全部酸素にして追い出してしまうから、違うようになってしまうのでしょうか。植物とは、酸素を生産する工場なのか、酸素を排泄する微速度動物なのか。わたしたちのインスピレーション(呼吸と霊感)は、かれらの排泄物のおかげです。

 水辺の刈り取られた勢いのいい草たちを思いだします。かれらの感じさせた恐ろしさは、また、生命の恐ろしさでもあるのではないでしょうか。生と名づけられたものすべてが、人間にとってよいものではありません。細菌だって、カビだって、ダニだって生物で、自然はどの生物もひいきしているわけではありません。自分の身体の生を信頼することができても、他の生物にもおなじ威力の生がある。ちょっとした細菌によって小さな部分が壊されるだけでも、人間は死んでしまいます。死すらも、生のもたらすことです。

 落ち葉の美が気になって、やっぱり写真を撮ってきてしまった。
 




         

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