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森の日記―――書を捨てて森に入ろう
平成22年9月21日
ベルクソンがいっていることですが、エディアカラやカンブリアの最初の多細胞生物は動物だったのですから、植物とは、いったん意識をもってから、それを捨てて眠り続けることを選んだ生物です。
とすれば、ぼくが森のなかを歩き回っているのは、昼寝をしている幼児を見回っている保母さんたち、夜の病室で患者の状態をチェックしている看護師さんたち、囚人の各房を巡回している刑務官たちのようなものなのでしょうか。
いや、むしろ、みんなが寝てしまったのに、ひとり眠れずにぼんやりしている子どものような感じがします。みんなの寝顔を見て回って、いたずらでもしてみたくなる子ども、本当はうらやましい。起きてていいこともいっぱいあるが、寝てていいこともいっぱいある。

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