黄斑円孔手術体験記


森の日記―――書を捨てて森に入ろう


平成22年9月22日

 異常な暑さの夏でしたが、季節は確実に交替しつつあって、樹の緑が黄色になって落ちていきます。紅葉は12月と思っていましたが、それは大規模な樹々の紅葉であって、それぞれの樹は、来年の新緑のために、すでに勝手に紅葉し、落葉していきます。

 こうした森のリズムに比べると、人間身体のリズムのあやふやさにがっかりします。食べることと排泄すること、眠ることと起きること、体温や血圧や、確かにリズムがあるのだけれど、心が強引に行動するので、簡単に狂ってしまいます。

 「健康でありさえすればいい」という考えのひとも多いようですが、「健康とは何か」は考えていない。健康は、単に病気でないことではないし、思い通りに動く体、自分の自由の条件としての身体の状態のことでもないようです。自分の自由は、所詮社会的行動の自由にすぎません。だから、病気でもないのに、ときどき体が反逆する。


         

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