黄斑円孔手術体験記


森の日記―――書を捨てて森に入ろう


平成22年7月31日

 今日は、自分とおなじような背丈の樹々に眼がいきました。発見するためには、「見ること」よりも、「見えること」の方が重要ですね。いままでは「いかにして見るか」とばかり考えていたのですが、いまは「いかにして見えるようになる」か、つまり受動的になれるかが大事だと思う。

 そんなことより、今日の発見というのは、葉の形です。それぞれ似たような小さな樹ですが、みな違う葉っぱをつけています。細長い葉や丸っこい葉や、手のひらのような葉、おしゃれなぎざぎざをつけた葉、集まって花のようなふりをしている葉など。そのなかに三本指のような形ものがあったので、心のなかで「何のために君はこんな変な形なんだ?」と聞いたとき、心のなかに「わたしの勝手でしょ」という声が聞こえてきて、思わず笑ってしまいました。それはそうなんだ、「何のため」、つまり目的や原因は、人間の精神のなかにしかない、それに円形や正方形の葉っぱはない、「そうか、自然は幾何学が嫌いなんだ」と思いました。


         

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