科学論1a(旧科学論・科学史101):

主題:

大きすぎて見えないものを「観る」。

目標:

人間と比べ、あまりにも大きく、あまりにも遠く離れている「宇宙の姿」を 人類はどのように捉え、どう理解してきたのかを知ること。 また、肉眼観測による限界を突破し、その向こうの 世界をどのように発見したきたのかを調べ、理解し、学ぶこと。

科学論1a(101)の内容
  • 第1部:肉眼観測による宇宙の姿
  • 1. 地球、月、太陽、そして5つの惑星
    2. 天動説と地動説
    3. 小テストと解説/まとめ

  • 第2部:望遠鏡で見る宇宙の姿
  • 4.ガリレオの観測
    5.ハーシェルの観測
    6. 小テストと解説/まとめ

  • 第3部:光学理論の発展と望遠鏡の仕組み
  • 7. 大きすぎて/遠すぎて見えないとはどういうことか?
    8.光の性質(反射と屈折)と本質(波動か粒子か)
    9. 小テストと解説/まとめ

  • 第4部:宇宙の大きさを測る
  • 10.セファイド型変光星を用いた銀河系の大きさ測定
    11.ドップラー効果とハッブルの法則
    12. 小テストと解説/まとめ

  • 第5部:最先端の宇宙観測
  • 13.宇宙の果て(Hubble deep space)
    14.生命の誕生、系外惑星
    15. 小テストと解説/まとめ
以前のシラバス

オンライン講義資料 (1)Spaceshuttle

The report of the presidential commission about the spaceshuttle, Challenger, accident.

[Volume ]

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Feynman's explanation on the accident
  1. Challenger's launch and its explosion
  2. Analysis of the accident (Beginning)
  3. Introduction about the Challenger accident
  4. Accident Investigation (SRB construction)
  5. External-Tank construction
  6. Orbiter
  7. Transporter
  8. Lauch rescheduled several times due to weather
  9. Ice and frozen systems
  10. Water system starts at T-16
  11. Ignition and Engine start
  12. SRB ignited and T0
  13. Launch and explosion
  14. Accident Investigation (After explosion)
  15. Postflight Analysis (E60, E63)
  16. High-resolution camera (D60)(Problem in Joint)
  17. Joint of SRB and ET
  18. Vibrations in the SRB Joint
  19. Rubber O-Ring in the SRB Joint
  20. SRB burn plume
  21. Flare in SRB and ET
  22. Explosion in the hydrogen tank
  23. Explosion of Crew Cabin of the orbiter
  24. Conclusion
  25. Feynman's explanation on the accident [Appdx F]
  26. Successful launch of the spaceshuttle Atlantis and its SRB falling to the Sea

オンライン講義資料 (2)天体望遠鏡の仕組み

レンズ(ガラスを磨いて作る)は光の屈折を利用して、(1)集光および(2)像の拡大を行う。 レンズを2枚組み合わせた「機械」のことを屈折望遠鏡という。 ガリレオが史上初の天体観測を行ったのも屈折望遠鏡である。 ガリレオが使用した屈折望遠鏡はガリレオ式といって、凸レンズと凹レンズを組み合わせて作る。

ガリレオ式屈折望遠鏡の概略(LISEプロジェクトのホームページより)


望遠鏡には、光の反射を利用した反射望遠鏡というタイプもある。 鏡を2枚とレンズを1枚組み合わせた望遠鏡である。レンズが抱える「収差」の問題を解決するために、 ニュートンが最初に考案した。

ニュートン式望遠鏡の概略( LISEプロジェクトのホームページより)

現代の天文学研究における観測では、もっぱら反射望遠鏡が利用されている。レンズに比べ、 鏡の方が大型化が比較的容易であるからだ。しかし、アマチュア天文家の多くは、屈折望遠鏡を 利用している人が多い。望遠鏡の持ち歩きの良さ、調整や管理の容易さ、などが理由である。


光線の屈折を説明する図はネット検索するとたくさん見つかるが、その多くが誤りである。 もっとも重要なのは、接眼レンズの先(と眼玉の間)で光線が再び平行光線に戻ることである。 対物レンズの手前で大きく広がり、光線密度が低い状態だった光の束が、望遠鏡を経て、 対物レンズから外に飛び出して眼玉に入るまでに、集約し、密な平行光線に変化している点が 重要である。これが望遠鏡の重要機能の一つである「集光」であるからだ。

接眼レンズの先で光線が平行に戻ることをちゃんと説明してあるホームページは、 上記のLSE(フランスの国立天文台の一つ)の解説や、 Vixen(日本の望遠鏡メーカー)の製品に使用されているレンズの設計を担当した 加藤保美氏(故人)の解説など、 専門家によるものが多い(注:私が調べた限り)。ネットで勉強するときは気をつける必要がある。

注:LSEで利用されている挿絵は ”The history of the telescope" (H.C.King,Dover,1979; original publication, 1955) からの引用。


天体望遠鏡のレンズ設計を本職とされていた 加藤氏のホームページには、レンズ設計のため(あるいはその学習のため)のソフトウェア OPT98が公開されている。このソフトウェアを利用すると、様々なレンズや、レンズの組合せ で作る複雑な光学系についての光線追尾が可能となる。また、望遠鏡を自作するアマチュア天文家 の方々も多く存在し、彼らの情報も役に立つ (たとえばYAMACA氏のホームページ)。

集光機能

望遠鏡の仕組みを理解する上で、「(遠方からの)平行光線は点光源」を意味することを知ることが 重要だ。「平行に走る光の線の一本一本は異なる光源に由来し、別の像に対応している」と考えて しまいがちだが、実はどれも同じ像(点)からやってきた光線である。 したがって、やってくる平行光線をなるべく多く集める ことができれば、平行光線に相当する点は明るく見える。仮に、数本欠けてしまうようなことが あったとしても、(像が多少暗くなるだけで)像自体は見えるのである。

レンズの機能のひとつは、(図の上下に)広がってしまった光を、コンパクトに集めることにある。 暗くて見えなかったものでも、目の中にたくさんの光が入ると見えるようになるから、 眼球の大きさ程度の部分にできる限りたくさんの平行光線を詰め込むことが大切である。 これを「集光」という。

拡大機能

遠方に位置する2つの点光源が光線を放っているとする。当然、異なる点光源から出ている光線同士は 有限の角度をなして(交わって)いる。ところが、観測者に届く頃には、この2つの光線の角度は わからないほど小さくなってしまい、一種類の平行光線のように見えてしまう。

こうなると、観測者にはこの平行線が「一点」として見えてしまう。遠方に位置する2点を そのまま「2点」として見分けられる能力を分解能という。分解能が高い望遠鏡ほど、 遠くの天体の姿をそのままの姿として捉えることができる。肉眼で見ると「点」にしか見えない 星々も、実際には面白い形をしているのかもしれない(例:土星)。

望遠鏡には、この失われた2点間の角度の情報を、2枚のレンズによって増幅し回復する機能がある。 このため、1点に潰れてしまった像が2点(あるいはそれ以上の点)に復活することで 遠方の天体の像を観測することができるようになるのである。